20年近く経っても、手の中に残っているもの
セラピストになったばかりの頃に教わったことが、いつの間にか私の「当たり前」になっていた
以前、「20年触れる仕事を続けて見つけた私の軸」という記事を書きました。今回は、その軸とは少し違う、セラピストとしての「基本」の話です。
今の私の施術を支えている基本の8割ほどは、セラピストになったばかりの頃に教わったことです。
セラピストとして働き始めて、もう20年近くが経ちます。
これまで、ホテル、百貨店、産院、自宅サロンなど、いろいろな場所で施術をしてきました。
その始まりが、最初に働いたホテルのサロンでした。
最初のサロンで教わったこと
アロマのスクールを卒業し、セラピストとして初めて働いたのは、外資系のリゾートホテル内にあるサロンでした。
もともとホテルで働いた経験があったので、接客や言葉遣いにはある程度慣れていました。
…というより、そのホテル勤務のほうが恐ろしく厳しく、今思い出しても少し震えそうなくらいです。笑
それでも、セラピストとしてホテルで働くのは初めてです。
施術ルームのセッティング
タオルの畳み方
ホットタオルの絞り方
お客様へのタオルの掛け方
体への触れ方
施術中、余計な音を立てないこと
一つひとつ、細かく教えてもらいました。
店長や先輩方の施術を見て、教えてもらって、何度も練習しました。
初めて痩身メニューの練習をしたときには、必死になりすぎて少しだけ息が荒くなり、注意されたこともあります。
ホットタオルを作るとき、水差しをボウルに当てて「カーン」と音を立ててしまったことも。
施術中は、そんな小さな音にまで気を配るように教えられました。
当時の私は、
「セラピストって、こういうものなのか」
と思っていました。
それが、この先ずっと自分の基準になるとは、まだ知りもしませんでした。
ホテルのサロンには、旅行中に一度だけ利用される方や、ブライダル前に来られる方など、一期一会のお客様がたくさんいらっしゃいました。
施術ルームは、ホテルの客室をそのまま使った専用のお部屋。
今思えば、とても贅沢な空間です。
フットバスにはバラの花を浮かべたり、雑誌を読みながら半身浴をした後に施術を受けるコースもありました。
もちろん、今のサロンでホテルとまるっきり同じことはできません。
それでも、お客様をお迎えするのは、施術が始まってからではないということは身に沁みついています。
照明の加減
清潔さ
物の置き方
今いる場所の中で、どうすれば少しでも心地よく過ごしていただけるか。
それを考える癖も、あの頃についたものなのかもしれません。
ちなみに、今サロンで使っているフットバスは、ホテルで働いていた頃と同じものです。
見た目がエレガントなのに使いやすくて、お気に入りです。
「また来月」と言える場所
その後、異動で同じ系列の百貨店のサロンに配属されました。
ホテルとは違い、館内放送が聞こえてくるような場所でしたが、お客様との距離は一気に近くなりました。
月に一度、メンテナンスに来てくださる方
商品を購入するタイミングで施術も受けてくださる方
新商品が出ると、チェックしに来てくださる方
「また来月」と言えるお客様がいらっしゃることが、私にはとても新鮮でした。
一度きりかもしれないお客様と過ごすホテルでの時間も好きでしたが、同じ方と何度もお会いして、その方の変化を見ていけることも楽しかったのを覚えています。
「どこでもいい」と思っていた
その後、妊娠・出産をして、しばらく仕事から離れました。
子どもが8か月くらいになった頃、
「もう仕事したい!!!」
という気持ちが抑えられなくなりました。
でも、小さな子どもがいて、親に預けることもできない。
働ける時間も限られていました。
以前と同じような環境で働きたいと思って応募しても、なかなか採用されません。
そしてとうとう、
「もう、採用してくれるのならどこでもいい!」
と思って応募した街中のサロンに、採用していただきました。
ところが、実際に働いてみると、私がそれまで当たり前だと思っていた環境とは、ずいぶん違っていました。
お客様が直接肌に触れて使うタオルが、使い回されていること。
あまり使わないオイルにはほこりが積もり、酸化したような匂いがしていること。
お客様にはスリッパへ履き替えていただくのに、スタッフは施術用の靴のまま外へ出て、そのまま店内に戻ってくること。
それまでの私には、考えたこともないようなことばかりでした。
その中にいるうちに、自分までそれを「普通」だと思うようになってしまうのではないか。
そう思うと、続けることができませんでした。
仕事がしたくて、「採用してくれるならどこでもいい」とまで思っていたのに、その日の終わりには、
「ここで働くくらいなら、まだ働かなくていい」
と思っていたのです。
結局、そのサロンは研修の一日で辞めました。
どこでもよかったわけではない
「もう、どこでもいい」
と思っていたはずなのに、
私は、どこでもよかったわけではなかったのです。
その後、子どものことなどもあり、自宅でサロンを始めることになりました。
自分の時間で働けること。
そして、自分が大切にしたいことを、自分で守れること。
中でも、清潔であることは今でもとても大切にしています。
その後、もっと技術の幅を広げたいと思い、産後のアロマトリートメントを行う産院でも働くようになりました。
ホテル
百貨店
産院
自宅サロン
場所も、お客様も、それぞれまったく違います。
今は、夫の鍼灸院の一室を借りて、自分のサロンと同じように施術をさせてもらっています。
今も、手の中に残っている
改めて考えてみると、今の施術の8割くらいは、やはり最初のホテルのサロンで教わったことです。
タオルを整えることも。
ホットタオルを用意することも。
施術中の音に気を配ることも。
お客様の体に触れるときの手も。
当時は、ただ必死に覚えていただけで、それが特別なことだとも思っていませんでした。
でも、今だからこそ分かります。
働く場所は変わっても、あの頃に教わった事は、今も私の中にしっかりと残っています。




朝日さん、おはようございます!
何を基準にするか、とても大事なお話しでした。
余談ですが、私もホテルのスパが好きで、旅行に行くと予約しちゃいます。
やはりリゾート気分がさらに上がって良いですよね🥰
水森さん
おはようございます!
なんか、わかります。
比較して初めてわかることってありますよね😊